オウンドメディア4つの成功事例 – ListeningMind

企業のウェブサイトは死んだ。

2014年2月5日Forbes紙のオンライン版に「これからはコンテンツが王様だ。そして、企業のウェブサイトは死んだ(Content Is King And The Corporate Website Is Dead)」というタイトルの記事が掲載されました。この記事で気になった事例があったので、それを紹介します。

  • 「フォーチューン100社のうち約70%に近い企業のサイトトラフィックが減少している。(Webtrends Inc.)」
  • 「90%のトラフィックがわずか10%のコンテンツから発生し、50%以上のトラフィックはわずか5%のコンテンツから発生している。(Inbound Writers Inc.)」
  • 「60%〜70%に相当するB2Bマーケティングコンテンツが、実際には全く活用されていない。(SiriusDecisions, Inc.)」

このような事例を見て企業のサイト担当者やマーケティング担当は頭を抱えてしまうかもしれません。ならばホームページの寿命は終わったのか?顧客たちは単純に製品情報だけの企業のホームページは入ってもすぐに立ち去ってしまいます。単純な情報はすでに必要ないと感じているからです。

顧客たちが求めるのは、気になる製品を利用した活用術や実際に使っている人の話のように自分に有益なものです。その解決策として「これからは企業のサイトがメディアのハブ(hub)として進化しなくてはならない」という意見が強くなっています。

最近では、メディアハブ以外にもブランドジャーナリズムなど、様々な表現が使用されていますが、結局はブランド自体がメディアパブリッシャーのように「訪問者が求めるコンテンツを生産する役割」を持つ必要があるではないでしょうか。

しかし、会社のホームページをリニューアルする時には未だに「「製品紹介」や「製品特徴」、「店舗検索」、「会社案内」、「最新ニュース」、「お問い合わせ」などの典型的な企業ホームページのメニューを作成します。

また、ページごとではソーシャルメディアの共有ボタンを数個つけて、デザインやUX上で差別化を試みて「きれいなホームページ」に仕上げています。もう少し踏ん張ってモバイルウェブページにも対応します。

インターネットが生活の一部となり、スマートフォンが活用のパターンを変えてしまった今、企業は根本的な変化、つまり、「オウンドメディア化」なしにUXやデザインの差別化やモバイル対応だけではあまり役割のない存在に陥ってしまいます。

それでは、本件の「サイトのメディア化」について事例を交えながら話していきます。

考え方を変える:ホームページはもはや会社紹介やカタログではない。

企業のサイトが増えてその形が決まってきた現在では、サイトは会社紹介や製品カタログのような機能を持っているものが大半です。これは一見効果的であるように見えますが、インターネットが出現してから20年以上が過ぎた現在では、サイトを製品カタログや会社紹介のように一度作成してしまったら次のリニューアルまで放置する状況になっていないか疑うべきです。

では、顧客たちがよく訪問するホームページを作りたい企業に有用なフレームは何でしょうか。
サイトを製品カタログや会社紹介ではなく、ショールームや店舗のようにすることがより有効手段であると考えます。

私たちのニーズをしっかりヒアリングしてぴったりの製品を提案してくれる店員さんや、考えてもいなかったことまで案内してくれる営業担当等との会話がまさにそのようなものではないかと思います。だから、わざわざ店まで足を運ぶわけですよね。

例えば、アップルストアに行ってみれば、その場所の雰囲気が他の量販店とは全く異なることがわかると思います。アップルストアの店頭で働くスタッフは、商品を売る人というより顧客と対話するためにお客さんを待っているように見えます。

物を買おうとせず、製品についての質問にもきちんと対応する、もちろん店員からも積極的にデモンストレーションをしながらお客さんにもたくさんの質問をします。相手のことをよく知っているからこそ、その話に耳を傾けることができるということをよくわかっているようです。

コンテンツは顧客との対話

企業のサイトをショールームや店頭と例えるならば、企業のサイトが持つべき機能は、単にショーケースやスペック、価格表形式の商品情報などの、一方的な宣伝文句に溢れたコンテンツだけでは不足だと言えます。先ほど述べた、店員やこれらの顧客との会話によって、顧客は、ブランドとの関係を感じることができます。その何企業のサイトにも必要だが、その何に該当することが果たして何だろうか?それは、企業のサイトに訪問した顧客が求めるコンテンツです。それでは顧客が求めるコンテンツとはなんなのでしょうか?

  1. 信頼性の高い公式コンテンツ
  2. 専門企業だからこそ提供できる有用な情報コンテンツ
  3. 面白いコンテンツ
  4. 顧客の様々な状況に合わせてパーソナライズされたコンテンツ

コンテンツのフォーマットはむしろ二の次です。重要なのは企業がしたい話ではなく、顧客が望むコンテンツを提供しなければならないということです。

店舗に来る多くの顧客は、それぞれの状況、それぞれの話を持ってきます。企業のコンテンツもそれらと同じくらい多様である必要があります。また、私たちが運営する企業のサイトもこのように多様なコンテンツを持っている必要があるということです。

ほとんどの企業のホームページのコンテンツは、マーケティングチームやプロモーションチームで作成した商品カタログや4大媒体(Above the line、ATL)用に開発されたコンテンツをコピー・アンド・ペーストして作るのでインターネットの最も重要な長点を活用できずに4媒体のように利用してきました。

※下図は、ADK Interactive社の横山隆治氏の本「トリプルメディア」に紹介された図(売る理由から買う理由へ)を変形したものです。

4大媒体では15秒または30秒のコマーシャルか1ページか2ページの広告紙面の制限の中で伝えたい内容を最大限コンパクトにまとめる努力が必要です。しかし、インターネットではそのような努力は不要で、むしろより広く、深く伝えることが可能です。

すべてのページは、ランディングページになることもあるので、顧客の求めるテーマの数だけ多くのページを継続的に提供し、また関連コンテンツとの間を行き来しながら消費するようにしなければなりません。そうすれば検索やソーシャルメディアという素晴らしいシステムが顧客をそのページまで導きます。

時間をコントロールにする

企業のサイトで、顧客の多様なニーズや問題点に焦点を当てたコンテンツを制作することを決めた場合、サイト責任部門は継続的なコンテンツの企画と組み合わせて分析していくことが必要となります。

一般的なサイトだとスマートなデザインにリニューアルしたあとに、運用で商品情報やPRリリースを定期的に更新されているものと違って、リニューアル後にしなくてはならないことがもっと沢山あることに気がつきます。

担当者としては大変かと思いますが、これまでと異なった方向をとった企業のページには6ヶ月から1年以内には、トラフィックや顧客エンゲージメント面では劇的な変化が起こるでしょう。次から、事例を見ていきます。

オウンドメディア化に成功したコカ・コーラの事例

冒頭で述べた”Content Is King And The Corporate Website Is Dead」は、実はコカ・コーラのデジタルコミュニケーション&ソーシャルメディアグループディレクターであるアシュリー・ブラウン(Ashley Brown)が、彼の記事(2013年11月)で、当時から2年前の2011年にコカ・コーラのサイトに対して内部評価した時の表現です。

彼の言葉通り、コカ・コーラは、このような宣言の後に既存の形を捨てて、顧客が望むコンテンツを提供するオウンドメディアへの変化を試みます。そうして誕生したのが、現在のコカ・コーラのウェブサイト「The Coca-Cola Journey(http://www.coca-colacompany.com/)」と、企業ブログ「Unbottled(http://www.coca-colacompany.com/coca -cola-unbottled /)」です。

下記の2011年11月から2014年3月までに、コカ・コーラサイトの変化を盛り込んだ3枚の画像を見てみると、これらは徹底的に自分たちのサイトをメディア化しようとしたのかがわかります。

まず2011年11月のコカ・コーラのサイトを見ると、実際に私たちがよく考えている企業のウェブページと変わらない。しかし、2012年末になると「ストーリ」というメニューが最も前方に出てくることから、ブログがメインメニューに出てくるまで、Webページの構成がよりマガジンのような形に変わっています。

そして、最近の姿を見ると、ブログにも「Unbottled」というネーミングを含め、企業のWebページなのかライフスタイルマガジンなのか区別できないくらいに変化したことを確認できます。

もちろん、IR、PRリリースでは、企業の歴史のような情報も含んでいます。ウェブサイトの最上段に、このような目的のためにサイトを訪問する人が見るべきすべての情報をワンクリックでアクセスできるようにした動線、そして企業サイトの「オウンドメディア化」という目的と既存の企業情報を知りたい訪問者ニーズを満たすための形式を備えた事例です。

<現在のコカ・コーラのホームページの企業情報と関連した一般的なメニュー配置>

<2011年11月2日のコカ・コーラのホームページ – テスト前>

<2012年12月6日、コカ・コーラのホームページ – テスト中>

<コカ・コーラホームページ – 現在>

シスコシステムズの事例

アメリカの例をもう一つ挙げると、シスコシステムズの「The Network」があります。主要ビジネスであるネットワークに関する内容からクラウド、セキュリティ、IoTまで様々なテーマの技術記事やビデオを閲覧することができます。

もちろん、シスコ独自のブランドに関するものもあるが、シスコと関係のない情報も充実しています。

<The networkのメインページ>

前田建設の事例

前田建設が運営するホームページ、「前田建設ファンタジー営業部」というオウンドメディアの事例を見ていきます。
「グランツーリスモ」という加工のサーキットを受注するというシナリオの下、見積もりを出して、遂行する際に使われる技術を紹介するコンテンツを込んでいます。
前田建設は、この企画を通して日本の有名媒体でもたくさん紹介されました。特に、「前田建設ファンタジー営業1部のマジンガーZ地下格納庫編」、「前田建設ファンタジー営業2部の銀河鉄道999架橋編」などは、書籍が出るほどの大ヒットを記録しました。これをマーケティングの効果価値に換算すればどれ程のものになるでしょう。

<前田建設ファンタジー営業部のメインページ>

個人的に、前田建設のホームページでお気に入りのコンテンツは、「宇宙戦艦ヤマト2199 X前田建設ファンタジー営業部」というコンテンツです。

<宇宙戦艦ヤマト2199のための地下大空間計画>

<宇宙戦艦ヤマト2199のための地下大空間の建設準備と発進準備工事施工ステップ3>

このようなコンテンツは、Webサイトへのトラフィックだけではなく、会社のPR活動やリクルートにも非常にポディティブな成果をもたらしてくれたことを表す良い事例と言えるでしょう。